彼氏契約書
その言葉を最後に行こうとする美緒さんの腕を、

パッと捕まえた。


「…痛い、離して」

僕を真っ直ぐに見つめ、困惑の美緒さん。


「今日の美緒さん変です」

「…変なのはいつもの事でしょう?

蒼空が気にする事ない…私、今日は早く退社するから、

後の事はよろしくね」


「美緒さん」

「…蒼空」


「・・・?!!」


・・・・彼女の行動に、時間が止まったかのように、

動けなくなってしまった。

言葉を失う僕に、一度だけ笑顔を見せた美緒さんは、

僕の横を通り過ぎ、専務室を出ていった。


…ハッとして、オレは美緒さんを追いかけた。


でもそれが遅かった。

会社の中も、会社の近辺も、彼女の姿はどこにもなかった。
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