彼氏契約書
「社長って、美緒さんの事、好きなんですか?」

「は?!…どこからそんな発想が生まれるのよ?」

蒼空は突然、凄い事を口にする。

…私と雄一の関係だけは、蒼空には気づかれたくなかった。

…どうして、そんな事を思ったのか、わからないけれど。



「社長の美緒さんへの態度だけは、いつも違うんですよ」

「・・・どこが?」


「…大事な人を扱っているような、そんな感じ。

他の女性にはしないような態度を、社長は取ってますから」


「…私は、一緒にしか見えないけど?」

雄一は、女は同じ生き物だと思っているに違いない。

私だけ特別扱いなんて、ありえない。


「いいえ、僕もそうですから、わかるんです」

そう言った蒼空は、明らかにヤキモチを妬いているそんな顔だった。

…嬉しいような、うっとおしいような・・・

何とも複雑な心境に駆られた。



「と、とにかく、私と社長は、上司と部下なんだから、

須藤の気にしすぎ、わかった?」

これ以上、何か言われたらたまらない。

私はパッと話しを終わらせて、デスクに腰かけた。


…この会社で働き始めてもう数年。

こんなにドキドキさせられるのは初めての体験で。

どうしていいかわからなかった。
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