秘密の暮らし
私の王子様

私には秘密がある。

1つは高2にしてマンションで暮らしていること。
小さい頃に両親を事故で亡くして、親戚の叔母さんに引き取られた。
それでも叔母さんにずっとお世話になるわけにはいかないから…
高校から一人暮らしを決意したわけ。

まぁ、叔母さんにはあんまり好かれてなかったしね。
逃げてきたって言った方が正しいかな。

もう1つは…

「ただいまー」

「あっ!お帰りっ!啓っ♥!」

「ごめん菜々!職員会議長引いた!」

「大丈夫っ!ご飯用意しといたっ!」

「ありがとう!」

そう。
私は同居している彼がいる。
しかも………
私の担任の先生なんです。


出会いは去年……
新任の朝田啓先生に完全に一目惚れ。
いけないことって分かってたけど…
とめられなかった。

夏には告白して…
先生も私のこと好きって言ってくれて…

私が一人暮らししてること伝えたら
一緒に住むって言ってくれてから金銭的にも私のことを支えてくれてる。

ただし、この恋には条件がある。

1、誰にもバレてはいけない
2、学校では普通に接する
3、恋で勉強や仕事をおろそかにしてはいけない

この3つ。

それでも家のときは先生は私のことを菜々って呼んでくれるの。

先生の学校でのポジションは
・イケメン
・スタイル抜群
・優しい
・若い←笑
・化学の教師

って感じ。
こう言っちゃなんだけど
めっちゃモテる。

そんな人と付き合っているなんて、まして、同居しているなんて…
誰にも言えるわけ無い。

「菜々…今日の授業理解できてないだろ?」

ギクッ………何急に……………

「え?そ、そんなことないよ?」

「声が裏返ってんぞ?」

「いや…超理解してるよ?」

「嘘だな。お前化学だけ出来ないってどゆことだよ笑」

ゔ………………
それを言われると……………

「だって……化学式とかいる?いらないでしょ?!私にはどーしても無理なのっ!」

「だから今日の授業は分かんなかったんだろ?笑」

そーですよ………
分かんなかったですよ!
悪いかっ!

絶対ドS。
学校では見せない意地悪な顔してるもん!

まぁ、そこも…好きだけど…

「菜々?」

「は、はい?」

「明日…居残って勉強しようか?」

「え゙…?何で?」

「だって理解してないままテストはやばいだろ。」

夕飯のカレーを頬張りながら真面目に答える啓。

「い、居残って?家でいいじゃん!」

「だーめ。学校以外で教えたらヒイキになるだろーが。」

「そーゆーとこ真面目だよね……」

「当たり前だろ。こう見えて一応先生だから。」

知ってるけども…………

「で、明日…残ってやらないと…テストどーなっても知らないからな?笑」

「ぅ…啓の意地悪…………。」

「なんとでも言えー笑笑」

もぅ………
居残りなんていや……………

「んー。うまかったっ!ごちそうさま!って……………何拗ねてんだよ…笑」

「すねてないもーん。」

「嘘つくなよ!笑 そんなにほっぺた膨らませて…女子高生とは思えない顔だぞ!」

「知らないもーん。」

拗ねてないけど………
居残り本当に嫌だぁ………

「ふぅーん…拗ねてないのかぁ………」

「け、啓?何?そ、その薄笑い……」

「黙って…」

?!

「ひゃあ!」

「どんな声出してんだよ笑」

だって!急に抱き寄せるからじゃん!
恥ずかしいよ……

「顔真っ赤。」

「う、うるさい………暑いのっ!」

「ふぅーん…へぇーーー…………」

な、なによ
そんなじっと見ないでよっ!

「じゃ、もっと熱くさせるわ。」

「へ?」

言葉の意味を考える間もなく
私の唇は啓によって塞がれた。

「んっ……け、っけい………んっっ」

啓の腕が腰にまわる。

ゾクッ…

思わず啓にしがみつく…

「…………菜々…誘ってんの…?」

は???

「ちっ、違うわバカァァァァア!」

「ふっ…かーわい。」

「か、可愛くないしっ!」

「ムキになるとなおイイね。」

っっっ!
この人絶対楽しんでる!

私の王子様は
究極にドSなのは絶対秘密。
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