隣の席の姫野くん。

このみside




姫野に抱き締められて泣いたあの日。



家に帰ると都合がいいのか悪いのか、家には誰もいなかった。



姫野は帰りながら何度も、大丈夫って言ってくれて


泣きながら歩く私の手をひいて



最後は私に戸締まりするように言ったあと、頭を撫でてくれた。



私が家に入るまで帰らないと言ってきかなくて、私はしょうがなく先に家に入って、窓から姫野の後ろ姿を見つめていた。




なんだか、優しすぎて姫野じゃないみたい。



私は胸が締め付けられて、痛くって


思わずしゃがみこんだ。



これって、やっぱり姫野のこと?



最近胸が痛む理由がわかったけど、まだ知らないふりをしていた。



だって、なんだかどうしても認めたくなくて…













< 138 / 300 >

この作品をシェア

pagetop