吐き出す愛
「すみません! 長く待たせましたか?」
「いえ、全然待っていませんよ。私も今着いたところなので」
「そうですか……。それなら良かった」
私の言葉が嘘ではないと確信を得ると、小山くんはほっと息を吐き出して安心したように笑みを見せた。
気を遣ってくれているのが、痛いぐらいに伝わってくる。
「……あの、ありがとうございます。食事の誘い、受けてくれて」
「私の方こそ、誘ってくれてありがとうございます」
事前にもメッセージで言われていたお礼を丁寧に口頭でもされるので、私も文面で送ったものと同じお礼を返す。
すると小山くんは、口の端を緩やかに上げて笑っていた。
……ほんと、良い人だと思う。
小山くんは私を合コンに連れて行った友達の高校時代の同級生らしく、色々と評判は聞かされていた。
曲がったことは嫌いで、何でも正直に全力で向き合うのがポリシー。
だから真面目に勉強にもスポーツにも取り組んでいたらしく、中学から高校まではバスケ部に所属していたらしい。
短く切り揃えられた髪は黒々としているし、服装もシンプルだけど爽やかさを感じさせるもので。
言葉や態度から滲み出る正直すぎる一面を踏まえると、確かに話に聞いた通りの完全に品の良い好青年だ。
小山くんが私と同じ大学に通っていることは合コンのあとに知って、意識して探すと同じ講義に出席しているのを見たことがあった。
そのときに先生の話を真剣に聞いていた横顔は、印象的だったのでよく覚えている。
大学って見た目も性格も様々な人が居るけれど、小山くんはその中でも明らかに真面目な部類の人だろう。
それは、よく分かる。
小山くんの情報は自分で確かめたものよりも友達から聞いたものの方が多いけど、そんなチャラチャラした人にはどうしても思えない。