月夜の奇跡
黒猫
「あれ？」

「そっか、泣き疲れて寝ちゃったんだ･･･」

「あーあ、もう顔グシャグシャ。しかも真っ暗･･･」
ひかりは一階の自分の部屋のベランダに出ました。

「うわぁー！月が真ん丸!」

そう、今日は満月の日だったのです。その月明かりはとても柔らかく、優しさで満ちていて、傷ついたひかりの心を慰めてくれているようでした。

そんな時

「んっ？」

ふと、ひかりが目線を下にそらすとギラリと光る二つの丸い物が見えました。

「何？動物？？」

でも、ひかりにはすぐに分かりました。

「わかった！猫ちゃん！猫ちゃんね！しかも黒猫ちゃん！」

「真っ黒だから最初は目しか見えなかったけど」

ひかりは話しかけてみた。
「おいで！おいで！」

「よかったら私の愚痴聞いてくれない？」

黒猫はすらりとした手足にまっすぐな尻尾、それに吸い込まれそうな蒼い瞳をしていました。


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表紙・目次

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