さみしがりやのホットミルク
「……ごちそうさま」



目の前の食事をすべて平らげた俺は、スプーンを皿に置きながらそう呟いた。

お粗末さまでした、とにこにこ返してきた彼女は、俺の食べるスピードと同じわけもなく。のんびりと、食事を続けている。

自分が使った食器を持って立ち上がると、佳柄があっと声をあげた。



「ごめんね、ありがと。食器はシンクに置いといてくれればいいから」

「……洗う」

「いやいやいや、何言ってんのー。ケガをしてるお客さんは、ゆっくり休んでてくださいっ」

「………」



結局また俺は彼女の言葉に甘えて、食器を置いた後すとんとまたテーブルの前に腰掛けた。

小さな口を動かしてもぐもぐ咀嚼している佳柄を、ちらりと見てから。今度は部屋の中に、視線をさまよわせる。

するとテレビの横にあるタンスの上に、いくつか写真が置いてあるのを見つけて。

俺はあまり深く考えず、何気なく“それ”を口にした。
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