鬼上司?と嘘恋から始めるスイートラブ
課長の話に耳を傾けていると、運ばれてきたサンドイッチ。やっぱり課長はここでもチキンサンド。やっと携帯を離した課長と二人で食べ始めた。


「俺、ゲーム好きもマンガ好きも学生の時から変わってない。でも、さすがに仕事中それは『課長』として良くないだろ。だから、俺はこれで『課長』に変身するんだ」


そう言って外したノンフレームの眼鏡。そういえば、課長は今までもずっと眼鏡を掛けていた。だから初めて見た素顔。なんだか少し幼く見えた。そっか。課長はメガネでオンとオフを切り替えているんだ。


「あっ、今童顔とか思っただろ?だから会社の人間の前では外さないんだよ。ちなみに口調が違うのも課長モードに徹してるからで今は完全オフモードです。これ、佐伯にだけ教える俺の秘密」


美味しそうにチキンサンドを頬張る姿は、確かに鬼課長の面影はない。私だけに見せてくれた時田悠貴の素顔にあたしの恋心はヒートアップしていった。



「じゃ、夜七時に駐車場で」


喫茶店でモーニングを食べながらゆっくりと一緒に時間を過ごした後、駐車場で分かれてお互いの家に入った。ドアを開ける課長の背中を見つめた。

ゲーム好きでマンガ好きで甘党。天然で、でもしっかりとオンとオフは切り替える。

そんな課長が好きで好きでたまらなくなった。
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