鬼上司?と嘘恋から始めるスイートラブ
私の隣で楽しそうな会話をする課長。聞きたくないのにところどころ『楽しみ』『明日』『待ち遠しい』そんな単語が耳に入ってくる。そして耳を疑う彼の言葉に頭が真っ白になった。


「そうだ、忘れてた。シャンプー切れたから買ってきてくれる?」


まだ切れそうのない通話を続ける課長に、ちょっと眠たくなってきたから家に帰りますと愛想笑いで逃げた。あのままあの団欒になんて戻れない。戻れるはずがない。電話の相手は誰?


会社帰りにいつも急いで向かうのはその人のところ?その人は課長の彼女ですか?それとも・・・


課長に追いつかれないように全速力で家にたどり着き、震える手で鍵を開けるとバタンと閉じたドアに凭れその場に崩れ落ちた。
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