「秘密」優しい帰り道【完】
●優しい帰り道

 秘密





潤平さんの話を聞いて、


頭の中が真っ白になってしまった。





私は、本当にバカだ。



凪くんのことを何も知らなすぎた。




まさかそんな



そんな...............







「凪を頼む。


4月から一緒のO高の生徒だろ。



頼む。あいつを支えてやってほしい」






潤平さんは立ち上がって、高校の方へと歩いて行ってしまった。



私は頭を抱え込んだ。





知らなかった。


全然、知らなった。




今すぐにでも凪くんに会って謝りたい。



バカな自分を、ものすごく後悔した。




頭から手を離し、ゆっくりとベンチから立ち上がると、涙がこぼれ落ちた。





涙を拭いながら歩いて土手に上がる手前で立ち止まった。



だから、


だから..........




あの時も、あの時も、



あの時も..........




今思い返すと、気づくチャンスはたくさんあった。



なんで、わからなかったんだろう。




なんで私は..........






土手に上がり、春らしくなった風景を見渡し、


川を見つめると、その水面に青空が映り込んでいて、




思わず空を見上げた。




雲一つない、真っ青な青空。





私、もう一度凪くんと会う。



会って謝りたい。



そう、決意すると、


ふんわりと温かく柔らかい風を感じて、


私はまた歩き出した。








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