「秘密」優しい帰り道【完】

 信じる






ショッピングモール内に入り、レストラン街を歩いた。


通り過ぎていく恋人たちが、みんな幸せそうに見えて、


切なくなった。


私だって、今好きな人と手を繋いでいるのに、

一緒にいるのに......




心の中は、


不安で、怖くて、


必死になって凪くんを信じようとしている。




「くるみ」



名前を呼ばれて、思わず立ち止まって凪くんを見つめた。



「何食べたい?」



凪くんの優しい眼差し


低くて甘い声



やっぱり好き


どうしても、凪くんが好き



だから、もう深く考えるのをやめよう。

深く考えると、


目の前の優しい眼差しで私を見つめている凪くんが、



今までたくさんの優しさをくれた凪くんが、




全部.......わからなくなる。



もう、深く考えるのをやめよう。



「なんでもいい」




私が笑いかけると、「なんでもいいは、なし」って、



凪くんが笑った。



「じゃあ......」




ぐるっと周りを見渡して、

ファミレスならお互い好きなものを選びやすいかなと思って、



「あそこにする」って指を差した。


「よし、じゃあ、そこにしよう」



凪くんは、またゆっくりと歩き出した。



店内はクリスマスなだけに満席で、



少し待って、窓際の小さな二人掛けのテーブルに通された。



二人向き合って座り、ふと目線を外に移すと、


さっき見たクリスマスツリーが下に見えた。










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