甘い誘惑~Sweet Refrain~

「俺はバカだよね」

――婚約が破棄されるかも知れないんだ

そう言った南方さんの顔が頭から離れられなかった。

それに対してあたしは彼にハンカチを貸してあげることしかできなかった。

話を聞くって言ったのは、あたしの方からなのにな。

あたしは、南方さんの役に立つことができたのかな?


翌日の昼休み。

長財布を持って会社を後にすると、
「さーて、今日はどうしようかな?」

そう呟いて店を探そうとしたら、
「あっ、フミちゃん」

その声に視線を向けると、南方さんが手を振っていた。

南方さんはあたしに歩み寄ると、
「はい、ハンカチありがとうね」

昨日貸したハンカチを渡してきた。
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