地獄で咲いた愛の花


 そんなに忙しいにも関わらず、今から七日の間だけ休暇をもらおうとしている鬼がいた。

「良いではないか。七日経ったら帰ってくるのだぞ」

現在彼は獄卒仲間に休暇中、己の任務を代行してもらうべく説得している。

彼の名は白露(シラツユ)。

長い銀髪に金色の瞳。

血で染まった紅の衣を纏う二本角の鬼の長(オサ)。

一口に鬼と言っても、その種はかなり多い。

一つ目、三つ目、一本角、二本角、三本角、牛頭(ゴズ)、馬頭(メズ)など、あげればきりがない。

白露の場合は頭から突き出ている二本角を除けば、容姿は人間に近く、その上とても美しかった。

おそらく人間が彼を目にしたら、美の化身として称賛するだろう。

それほど彼は美しいのだ。


 
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