【短編】恋愛サプリメント
「小室先生」

今日は、久々に保健室へ行った。

「今田、久しぶりだな。お前が保健室に来るの」

先生、あたしのこと、ちゃんと見ててくれたんだ。

久しぶりって、知っててくれたんだ。

そんな小さなことで、

すごく嬉しくなってしまう。

「そうかな」

わかっていても、照れていて言えない。

「ねぇ、先生―――」

「小室せんせぇい!」

あたしが先生に喋るのを遮られ、他のクラスの女子が入ってきた。

「あぁ、澤村か」

『澤村か』

そっか、

先生はみんなの先生なんだ。

あたしだけじゃなくて、

みんなの名前を覚えているんだ。

あたしだけが、特別じゃないんだ。
< 8 / 12 >

この作品をシェア

pagetop