ファインダーの向こう
エピローグ
「いや~沙樹ちゃん! 年末最後の大スクープ記事、“セレブ社長の裏稼業と転落人生”よかったよ~! ついでにベストスクープ賞受賞もおめでとう!」


「あ、ありがとうございます」


 大企業社長の逮捕劇から、しばらくメディアでは蜂の巣をつついたような慌ただしい状態が続いていた。沙樹も渡瀬光輝について同じような内容の記事を何件書いたかわからない。
 渡瀬商事は現在、政界を退いた渡瀬龍馬が再び社長の座に戻り、再起に向けて活動を始めた。


「沙樹ちゃんも、逢坂と晴れて恋人同士になったんだろう? 愛されてる?」


「え? さ、さぁ……」


 逢坂と気持ちは通じ合ったものの、相変わらず神出鬼没で一週間に一度も会わない事もある。そんな切ない想いも、恋愛の醍醐味だと思って今は楽しんでいる。


(でも、自分の好きな事を追いかけてる逢坂さん、なんだか生き生きしててかっこいいし……)


 渡瀬の一件が片付いた今、逢坂はフリーのカメラマンとして再び活動を続けている。たまに写真画像が送られてくるのが、沙樹の唯一の楽しみでもあった。それに渡瀬の呪縛が解かれたせいか、逢坂を長年悩ませていた右肩の傷の痛みも解消された。
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