ファインダーの向こう
「じゃあ、またね沙樹」


「うん、気をつけてね」


 機会があったらまた食事でもしようとルミと約束をして、沙樹が帰宅したのはちょうど日付が変わる頃だった。


(なんだかすぐに寝る気分じゃないな……)


 明日は寿出版に出社する日だったが、沙樹はシャワーを浴びるとなんとなく目が冴えてしまい、テレビをつけた。が、たいして目に留まるような番組もなく、消して寝ようかと考えていた時にルミからもらったDVDを思い出した。


(そうだ! せっかくだから観てみようかな)


 ルミの出演しているドラマはサスペンス要素のある恋愛ものだった。


 ルミの演技は不思議と人を引き付ける魅力を持っている。画面の向こうのルミを見ていると、つい先程まで一緒に食事をしていたのが不思議なくらいだった。


 すると―――。


「え? ここって……」


 話も佳境に入った頃、見覚えのある場所が出てきて沙樹は目を瞠った。


 里浦がルミにプロポーズをするシーンで、その場所が先程行った銀座のフレンチレストランだったのだ。しかも、沙樹とルミが座っていた席と全く同じで、ひと目を憚らずキスを交わすというシーンに、エンドロールが流れても沙樹は呆然としていた。


(里浦さんとの思い出の場所……なるほどね)


 ルミは里浦とはなんの関係もないと言っていたが、これがルミからの隠されたメッセージなのかも知れないと思うと、沙樹の探究心に火がついた―――。
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