死神のレシピ
「天国?」



ダレルは理解できないようだった



無理も無い



こういう状況になったら大人だって混乱する



「ダレル!目を覚まして!」



母親の悲痛な叫びが静かな病室に響き渡った



「ママ!」



ダレルは私の手を振り払って母親の元へ近づこうとした



私はダリルを後ろから抱きしめて母親から引き離した



「ママー!ママー!
ここだよ!僕はここだよ!」



ダレルは子供とは思えない程の力で抵抗した



「ママ!ママー!!」



「ダレル!落ち着いて
お願いダレル!」



駄目だ、この世への思いが強すぎる



ダレルを抱きしめながら、その思いがどんどん大きくなっていくのを感じていた



このままだったらダレルは、地上界と天上界の間を永遠に彷徨う存在になってしまう


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