死神のレシピ
私はなんて言えばいいのか分からなかった



人は死んだら大宇宙の摂理にいたがって天国に行かなくてはならない



私なんかが、どうこう出来る問題じゃない



でも



目の前で最愛の息子の死を迎えなくちゃならない母親の気持ちを考えると…



「死神さん
私の命を捧げます
だからダレルだけは
連れて行かないで
お願いします…。」



母親はそう言って私に懇願した



私は明らかに、うろたえていた



自分を凄く情けなく思った



死神は毅然とした態度で冥府への案内を遂行しなくてはならないのに



天上界で、そう教えられてきたのに


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