曖昧な関係。

ーガチャ

「ただいまー。」

「おじゃましまーす。」

「あら、おかえりなさい。
蒼くんも。」

ニコッと笑って出迎えてくれるのは、葵の母さんである、あやめさんだ。

「お兄ちゃん、おかえり。
はい、鍵。
荷物もっておいでよ。」

もしかして、オレ一人で荷物運ぶのか?

碧は手伝ってくれないのはわかってる。

ちらっと葵を見ると、無理。と言われた。

しょうがないな、一人で行くか。

「蒼兄(そうにい)。
オレ、手伝ってあげるよ。」

出てきたのは、高1で葵の弟。

翠(すい)だった。


「マジか。
ありがとー。」

「いいよ。
どうせ、蒼兄はオレの部屋に泊まるんだし。」

そうなのか。

まぁ、葵の部屋じゃないとすると、消去法で翠の部屋になるか。

「そうだよ。
ウチは葵姉(あおねえ)の部屋に泊まるもん。」

あっそ。

「じゃあ、行くか。」

「うん。」



荷物は、着るもの、部屋にある教科書類かな。

あとは、必要な時に取りに行けばいいし。


そんなに、荷物ねーや。

「じゃあ、翠は服入ってるカバン持って。」

「へーい。」
< 30 / 93 >

この作品をシェア

pagetop