曖昧な関係。

ー帰り道

この前みたいに、雨が降っている。

あの公園の前。

いつもはチャリだから気にしないのに。

「チッ。」

イライラする。

つーか、どうやって葵に謝ろう‥。

「如月蒼君、だよね?
葵ちゃんの幼なじみの。」

ハァ?

声のした方を見ると、そこには

ー逢沢柊都。

オレの憂鬱の原因。

「何か用ですか?」

あ、タメなのに敬語使ってしまった。

オレ、結構パニクってるかも。

「単刀直入に聞くけど、葵ちゃんと付き合ってるの?」

付き合ってねーよ。

好きだけど。

もう、めんどいから敬語で通そ。

「‥付き合ってません。」

オレは得意なポーカーフェイスで誤魔化す。

「ふーん。
じゃあ、僕が告白しても問題ないよね?」

「ないです。」

問題だらけだわ!

オレの心の中は荒れている。

「口に出さないと伝わらない事もあるんだよ。
まぁ、好きじゃないならいいけどね。
僕、明日告白するから。」

またあの腹立つ笑顔。

ーブチッ

「うっせーな!
近過ぎて言えねー事もあんだよ!」

「「‥。」」

パチパチと逢沢は瞬きをして、いきなり笑い出した。

「あはは。
それが君の本性かい?
僕だって譲る気はないけどね。」

じゃあねー、と逢沢は帰ってしまった。

もう、何なんだよ。

つい、カッとなっちゃったし。

アイツに、言っても意味ねーのに。






ー次の日の朝

‥寝れなかった。

朝日が眩しい。

昨日どう謝ろうかと、ずっと考えてた。

葵の部屋の前まで何回行ったかわからない。

でも、言えなかった。

オレってヘタレ過ぎんだろ。

自分が嫌になる。

つーか、モヤモヤしてるうちに朝とか‥。

本当、ないわ。


















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