まひるのつき

プロローグ

朝焼けの空。
カラスが一羽飛んでいく。
それを見届け、彼女は家に帰る。

今日は土曜日。
週休二日で週末が休みの人なら、明日も休みだから今日は夜更かししちゃおうかな〜。なんて思うのであろう。

だが、彼女はいささか違うようだ。

「勉強しなきゃ」

彼女は少し小走りで道を行く。

向かい側に男がスマホで何か話していた。
夜色の服を身にまとい、月色の髪をワックスでセットしてある。
いかにもオンナを喜ばすお仕事の人。

二人はお互いの姿を確認せず、すれ違った。