セカンドデビュー【完】
文句のひとつも言いたくなる。
どうして彼女がこんな目に遭わなければいけなかったのか。
待っているのも辛いだけで、彼女のために何かしなくては。

「懸賞金を出しましょう」
「……懸賞金だと」
「はい。捜査特別報奨金で300万まで出せますよね。あとは僕自身の金で700万。合計1000万円」
「本気で言ってるのか」
「はい」
「どこにそんな金が」
「母の死後、預貯金はすべて僕に一任されています。弁護士に頼んでおいたものなので、心配なら確認してもらってもいいですよ」

母が稼いだ金はすべてオレのものになった。
しかし、自力で稼いだものではないし、大金になんの意味も無い。
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