セカンドデビュー【完】

オーディション

10月から始まるドラマの番宣が始まった。
主役ではないので、本数は少ないが、それなりにワイドショーや雑誌の取材に呼ばれるようになった。
仕事をしている間は、悩みを忘れられる。

倖太が解雇されたせいで、スケジュールの管理も現場までの移動も、すべで自分でこなさなくてはならない。
まだまだ暑さの残る中の電車移動はつらい。
今までは母や倖太がすべてやってくれていた。

仕事が少ないと嘆いてばかりいたが、自分は大切にされていたんだと思い知る。
母を怒らせたことは反省しているが、これは自分の仕事。

次の仕事を掴むためにも。


取材が終わり、帰りの電車を待っていると、倖太から連絡があった。
「明日お台場に来て。オーディションあるから」
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