セカンドデビュー【完】
第9章 雪雲の向こう

隠されたもの

近所の神社に初詣に行き、おみくじを引いた。
倖太は大凶だった。
彼の人生は今年一年辛いものになりそうだった。

僕は大吉を引き、倖太は「映画当たるといいな」と言ってくれた。

君が優しく接してくれることに、僕はどうしたらお返しをしてあげられるだろう。


僕は君を助けてあげられる。
その代わり、僕は君を失ってしまう。

ひとりぼっちになるのは嫌だよ。


「琴音、風邪ひかないうちに、帰ろう」
「……うん」

ずっとずっと、ずっとそばにいて。

言葉にしたらなにか変わるのかな。




帰宅して二人で布団を敷いた。
布団乾燥機をわざわざ引っ張り出していたらしく、布団はふかふかだった。
今年もよろしくと、ぎゅっと抱きしめられる。

以前ホテルで抱き合ったようにして欲しい。
でも、もうそれはできない。

正月のテンションで楽しそうな倖太を見ていると胸が痛んだ。


僕は君に隠していることがある。
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