セカンドデビュー【完】

「あ、戻ってきたの」
「水原琴音、さん」
「うん。なに？」
「マネージャーをやることになりました。よろしく」

水原琴音は、持っていた台本を丸めて、バッグにしまいこんだ。
母さんに何を言われたんだか、と、小さく呟く。

「……そう。でも付き人は欲しいと思ってたから、嬉しいよ。こちらこそ、よろしく」

女の子のような白い肌、人形のように完璧な外見を備えた水原琴音が、微笑んだ。
嘲笑、とも受け取れないこともないけど。


それを可愛さにすり替えるだけの技術を、水原琴音は持っていた。



「これから、よろしくね。橘……倖太さん」