セカンドデビュー【完】
ドン!




その天使がぶつかってきた。




「痛っ!」

「あっ、すみません!」



ぶつかった瞬間に、相手が手に持っていたクリアファイルが落ちた。

それを拾い上げると、『滅びの街』と書かれたチラシが目に入った。

「なにジロジロみてんの」
「すみません。……あっ」


看板の……。

……水原琴音? 





「いいから返して」


ぶつかってきたのは向こうなのに、えらそうに言う。

差し出したクリアファイルを奪うように受け取ると、彼は小さく「……ありがと」と呟き、走っていってしまった。

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