君色キャンバス



恋を丸で囲むと、一本、細い線を丸の頂上につけたした。



そして、その上に『愛』と書いた。



(あ…うん、中二病だな。卒業したと思ったんだけど…)



左手で頭を支え、はぁ、と息を吐く。



シャープペンシルを回しつつ、窓の外を見た。



雲が、気持ち良さげに流れて行く。



「松島、よそ見しない!」



「え、あ、はーい…」



気のない返事をし、とりあえず、視線を前に向ける。



「英文の法則として…」



英語教師の言葉を耳にしながら、不意に窓の下、中庭に目を落とした。



ここからは、紗波と話したベンチは見えない。



噴水が光っていた。



(…恋かぁ)



向こう側の、三階の教室を見て、シャープペンシルを回しながら、心の中で言葉を紡いだ。



(…今、何してんのかなぁ)



そう思った途端、心に、清福が染み渡っていく。



なんとなく、幸福な気分にさせられる。



「…あ」



シャープペンシルを回す手が止まり、口から声が漏れた。



隣の生徒が、いぶかしげに亮人の方を見る。



(恋がなんか解ったような気がする…)



時は、ゆっくりと進む。



< 223 / 274 >

この作品をシェア

pagetop