君色キャンバス
恋を丸で囲むと、一本、細い線を丸の頂上につけたした。
そして、その上に『愛』と書いた。
(あ…うん、中二病だな。卒業したと思ったんだけど…)
左手で頭を支え、はぁ、と息を吐く。
シャープペンシルを回しつつ、窓の外を見た。
雲が、気持ち良さげに流れて行く。
「松島、よそ見しない!」
「え、あ、はーい…」
気のない返事をし、とりあえず、視線を前に向ける。
「英文の法則として…」
英語教師の言葉を耳にしながら、不意に窓の下、中庭に目を落とした。
ここからは、紗波と話したベンチは見えない。
噴水が光っていた。
(…恋かぁ)
向こう側の、三階の教室を見て、シャープペンシルを回しながら、心の中で言葉を紡いだ。
(…今、何してんのかなぁ)
そう思った途端、心に、清福が染み渡っていく。
なんとなく、幸福な気分にさせられる。
「…あ」
シャープペンシルを回す手が止まり、口から声が漏れた。
隣の生徒が、いぶかしげに亮人の方を見る。
(恋がなんか解ったような気がする…)
時は、ゆっくりと進む。