君色キャンバス
常盤色
十一月二十六日。
生徒鞄を肩にかけ、傘を差して、祐輝が亮人と話しながら、通学路を気だるげに歩く。
「はぁ…めんどくせえな」
「バーカ、バイク通学バレるからだろ。バレなきゃ良かったんだろうが」
亮人は当たり前、とでも言うような目で、祐輝を見る。
小鳥が兵の上で鳴き、傘の骨の先から滴る雨水が水溜りに波紋を作った。
「…つーか、お前、気をつけろよ」
そう言った亮人に、祐輝は傘越しに視線を送る。
「何が?」
濡れた道路を歩くと、ピチョピチョと音がして、靴の先から水が跳ねた。
卯花高校までの、駅から八百メートルほどの道。
亮人がはぁ、とため息をついた。
「呑気だよな、祐輝って…」
「お前に言われたかねーよ」
「気をつけろっつってんだよ!」
嫌に真面目な口調で話し始めた亮人に、祐輝はクエスチョンマークを浮かべた。
「お前…停学って、バイクの件もあるけど…あれ、本当は先輩に呼び出されて返り討ちにしたからだろ?」
祐輝の顔が一瞬ポカンとした、意味が解らないという表情を見せた。
その二秒後__道路に笑い声が響いた。