愛しのパシリくん

見えない壁




「―…成瀬さぁーん、オレも暑いんですけどー!」


いつもみたいに、情けない伊藤の弱々しい声。



「私の方が暑い!!パシリはちゃんと扇ぐ!!」


逆に、いつもと同じ強気な私。



―…今は、毎週月曜の恒例行事の朝会の真っ最中で。



誰も聞いてないのに話続ける校長とか、いかにも真面目って感じの生徒会長の面白くも何ともない話。



本当につまらない。


そんなの聞いてる程、暇じゃない私は…


体育館の一角に自分専用のスペースを作って、そこでくつろいでる。



もちろん無許可だから、先生に何回か怒られたけど。


私が、朝会に参加してあげてることに感謝する方が先だと思う。



ま、わざと伊藤を側に置いて他の女子へのマーキングになってるから…いいか。




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