さがしモノ
「放課後こいよ。」
そう転校生ちゃんに言って、少し笑ったハヤミ ジンは普通にかっこいい。
「う、うん。」
コクンと頷いて、わたしの隣に腰を下ろす転校生ちゃん。
うわー。いいねー。美男美女。
カツカツカツ。
そのまま出て行くのかと思いきや、教卓の前に立つハヤミ ジンとナルセ ハルカ。
「よく聞け。
今日からそこの…
宮咲 紗菜を蘭王龍の姫にする。」
シーンとなる教室。
「…手、でも出したらどうなるかわかるよね〜?」
総長の後にゆるーく付け足したナルセ ハルカの言葉は、よく教室に響いた。
ガラガラ。
バタン。
あっけなく閉まる扉。
総長さまと幹部さんは言うだけ言って、退散してしまった。
この場に取り残される転校生ちゃんのことは少しも考えていないらしい。
教室をぐるりと見渡すと、ほとんどの人が固まっていた。
それはそうだろう。いきなり現れたのはあの有名な正統派暴走族なのだから。
しかも、いきなり来て姫を紹介されても反応に困る。
キーンコーンカーンコーン。
こんな2-Dの事情なんてお構いなしに、いつもどおり鳴ったチャイムが授業の始まりを告げた。