妖勾伝
いとも簡単に、自分の身丈よりも大きな男を弾き飛ばすと、傍で解放された手首を擦っている女を気遣った。

赤ずんだ細い手首には、男の手形が。


「大丈夫か?」

「まぁな。」



やれやれと肩を竦め、一息つく。




傍に転がる二人の男達は、屈辱的な顔で此方を見上げている。

しかし懲りたのか、やり返してくる気配は無い。


神月の云うとおり、痛い目に遭ったのだ。




ーーーあぁいう、綺麗な女には、絶対男が付いている。
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