妖勾伝
「レン様、
此方です。」
紫乃の可憐な声が、レンの名を呼ぶ。
奥を見ると少し開いた襖の間から、紫乃が顔を出し此方へと手招きしている。
小さく紫乃に頷き、レンは足を進めた。
促されて入った座敷間の広さに、思わずレンは感嘆の息を漏らす。
表の外観からは伺えしれない空間。
煌びやかというわけではないのだが、細部にまで手が行き届いた座敷間がレンの目の前に広がっていた。
細工が施された、上がり口。
磨き上げられた、鼈甲色の長い廊下。
何処に目を向けても落ち度はなく、此処に女三人だけで住んでいるとは、レンには想像ができなかった。
ゆっくりと入ってきたレンの姿に、待ちかねていた皆の視線が集まる。
アヤ。
老婆、珀。
そして客人。
幾つかの膳が人数分並び、その前に座する人々。
座敷の奥側で上座をあけて神妙な面持ちのアヤが、ジッとレンを見つめてる。
此方に投げやる視線は、何かを言い含める様。
歩み近寄るその視線に、レンはただよらぬ胸騒ぎを落ち着かせながら、アヤの隣に静かに腰を降ろした。
無言のアヤを隣に、レンはゆっくり顔を上げた。
そして、対面に座する客人に視線を移したレンは、一瞬言葉を失った。
「ーーーぬしは…!」
此方です。」
紫乃の可憐な声が、レンの名を呼ぶ。
奥を見ると少し開いた襖の間から、紫乃が顔を出し此方へと手招きしている。
小さく紫乃に頷き、レンは足を進めた。
促されて入った座敷間の広さに、思わずレンは感嘆の息を漏らす。
表の外観からは伺えしれない空間。
煌びやかというわけではないのだが、細部にまで手が行き届いた座敷間がレンの目の前に広がっていた。
細工が施された、上がり口。
磨き上げられた、鼈甲色の長い廊下。
何処に目を向けても落ち度はなく、此処に女三人だけで住んでいるとは、レンには想像ができなかった。
ゆっくりと入ってきたレンの姿に、待ちかねていた皆の視線が集まる。
アヤ。
老婆、珀。
そして客人。
幾つかの膳が人数分並び、その前に座する人々。
座敷の奥側で上座をあけて神妙な面持ちのアヤが、ジッとレンを見つめてる。
此方に投げやる視線は、何かを言い含める様。
歩み近寄るその視線に、レンはただよらぬ胸騒ぎを落ち着かせながら、アヤの隣に静かに腰を降ろした。
無言のアヤを隣に、レンはゆっくり顔を上げた。
そして、対面に座する客人に視線を移したレンは、一瞬言葉を失った。
「ーーーぬしは…!」