夏休み
優は理解出来ないといった顔で、直哉を見てきた。
「まぁ、うるさそうなのはわかるけど、なんか楽しそう」
「ん、暇はないね」
「それがいいじゃん」
「そうか?お前ん所の親父は?」
直哉は一瞬躊躇ったが、隠す必要もないかと思い話した。
「俺に父親は居ないよ」
「!ごめん」
「あっ、いや死んではないよ、多分連絡取ってないから分かんないけど」
「・・・離婚?」
「そ、俺が五歳ん時に女作って」
「へぇ〜、ホントにあんだな、あっ、ごめん」
「良いよ、別に謝んなくったって」
箸で、コップに入った氷をいじりながら、直哉はぶっきらぼうに答えた。
「・・・だから、くまじぃみたいなのが親父って感じなんだろうな、本当の親父と遊んだ事ないから分かんないけど」
「あれで良かったらやるよ」
「ん、いらない」
「・・・」
間を置き、二人見合わせて笑った。

「かずばぁ!いつもの頼むよ!」
「よっ!待ってました!」
「なんだ?」
急に村の人たちみんなが、席に座りかず子に拍手を向けた。
「なに?」
訳が分からず、隣で未だに食べ続けている優に直哉が聞いた。
「かずばぁ、十八番の」
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