恋の片道切符
そして制服を着た、背の高い男の人が姿を表した。
私は「あ、」と思った。
彼だ。
あの人だ。
再会して初めて近くで彼を見た。
あの時とは変わって短く切られた髪、前よりずっと伸びた身長、長く伸びた指先、そして凛とした顔立ち。
でも、雰囲気はあの時と変わっていなかった。
あの優しい雰囲気。
フッと懐かしく思った。
その雰囲気に連れられるように、私はキュッと気を引き締めた。
そして彼に駆け寄った。