恋の片道切符
「貴女だったんですね」
「…はい?」
「あ、すみません。一昨日の…」
「そうです」
「僕、思ってたんですよ。一昨日の女の子、小学校の頃仲が良かった子に似てるなって」
はははっと彼は笑ってみせた。
あの八重歯も変わらずにある。
そして「僕の名前、覚えてますか?」
と私に問うた。
「はい。篠崎さんですよね?篠崎啓吾さん」
私はとてつもなく即答した。
「よく覚えてますね」
なんて彼は感心したように頷いた。