約束は森の中~導かれて~
『イブ』

 樫の木が名前を呼びます。

 その声につられるように、
 イブは青年に視線を向けました。


 そうでした。


 今は、他のことに気を取られている場合ではないのです。

 とにかく、
 いつまでもここにいるわけには
 いかないでしょう。

 けがをした身では、寒さは大敵でしょうし、
 止血をすることも大事です。


 早く温かい場所へと移動しなくてはなりません。



 視界に入ったのは四、五メートル先の小さな家。




 イブの目的地でした。

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