約束は森の中~導かれて~
「おいしい」


 匂いと同じように、

 甘い、

 甘い、

 味がします。


 すでに血という感覚はありませんでした。



 ぺろ、ぺろ、ぺろっ。



 もう止まりません。

 青年は生温かな舌の感触に、
 一瞬ビクリと体を固くしましたが、

 かなり出血していたため、
 抗えるだけの体力も気力もありません。


 こうなると、まな板の上のコイです。




 イブにされるがままでした。


 
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