カタキに恋をした。


“…いいじゃない、独りで。”

「え…?」

“独りの方が、楽よ”


独りの方が、楽…?

そうなのかな。

そうだといいなぁ。


「今すぐ、ここから逃げ出せたらいいのに…」

“あら、逃げるの?”


そう。

誰もあたしのことを知らない、ずっと遠くに。


“逃げられるとでも思っているの?

滑稽ね。


貴女の中に私がいる限り、誰からも、何からも逃れる事なんてできないわ。”


「はは…っ、
そう、だよね。」


わかってる。

わかってるのに。



「じゃあ、どうしたらこの気持ちを終わりにできるのっ…?」



あたしは好きになってはいけない人に

恋をしてしまった。



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