約束
はっとして、女を見る。

「彼を作ったのも私なのよ。あなたの憎しみを抑えるのが彼の役目。なのに勝手なことばかりやって、消してやろうかと思ったわ」

何を言ってるんだろう。

「だけど、結果的に良かったのかもしれない。私も強い存在になって、あなたと対峙できた。そして今、あなたを消せるんだから」

彼女は、何を言ってるんだろう。

「リノヴァは私を守るって」

「それも嘘よ。あなたを崩すために、ここまで連れてきてもらったの。私のためにね」

嘘だ。だってリノヴァは、いつも味方だった。

「そんなの、嘘、だよね?」

無表情で立っているリノヴァは口を開いた。

 「全部本当だよ。ノア。俺は君の記憶を操り、彼女と過去を忘れさせた。そうしなければ、彼女の体を使って何をやるか分からなかったからね。君に打ち勝つには、彼女は弱く不安定な存在だった。だから、ここまで時間をかけた」

足下が崩れた気がした。地震が起きたような、目眩を感じる。目の前が真っ暗で真っ青でわけが分からない。ガクガクと全身が震える。

「私は、彼女のために、辛いことの、肩代わりをして、それで、消えるの?」

「それが君の役目だよ」

他の誰でもない、リノヴァの言葉。

「すべて、嘘だったの?」

「そうだよ」

何もかも、どこにも、真実なんか無かった。
すべて、すべて、シナリオ通りなんだ。


自分なんか いなかった 最初から


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