ご懐妊‼ 新装版
「赤ちゃんはどう?」


我が家に向かう電車の中、母はわくわくした声で言う。


「元気、元気。キックがすごいんだよ」


「お産が近付くと胎動が少なくなるって言うけどね」


「んー、さっき検診に行ってきたけど、今日の時点ではまだお産までかかるみたい。ノンストレステストっていう機械くっつけて、陣痛が来てるか見るのもやったけど、変化ナシ」


「まぁ、ゆっくり待ちなさい。今更ジタバタしてもしょうがないから」


そーよね。ジタバタする意味ないもんね。


「それより、明後日までにあんたのうちの周りに何があるか下見しとかなきゃ。スーパーと薬局だけ、絶対教えて」


母は張り切った声で言う。
今回の母の上京は、私の産後サポートの下見がメインなのだ。

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