ご懐妊‼ 新装版
私は何度となくトイレに立った。

便器にもたれて、吐こうと試みる。

指でも突っ込めば吐けるんじゃなかろうか。
人差し指で喉の奥を押す。
げーげーやりながら、ようやく吐けたけど、
何も食べてないから胃液が少し出ただけ。


そして、
楽にならないっっっ!


吐いたことで体力をつかったのか、ひどい目眩にも襲われ、便器にうずくまったまま立てなくなった。
これって食べてない貧血?
でも、こんな目眩、妊娠前には経験したことないよ。


「ウメちゃーん、いるー?」


ドアの外で声が聞こえた。
この声は副部長の和泉さん!


「はぁい、今出ますー」


私は明るい声を振り絞り、壁を頼って立ち上がる。
平気な顔して、外に出ると和泉さんがハンカチを渡してくれた。


「ウメちゃん、違ったらごめん。……もしかして、妊娠してる?」


「!!!」


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