シャッフル
「あ、常務。大事な物が落ちてますよ」

 森岡はそう言いながら床から何かを拾い上げた。

 それはビーズで作られた小さなイルカのキーホルダー。ジャンプをしている様に湾曲していて口の先には赤のビーズで作られたボールが付いている。

 森岡はそれを拾うと俺に渡してきた。

「無くしたら大変ですよ」

「別に大事ってほどじゃない。単なる女除けだ」

「だから大事じゃないですか」

 森岡は笑いながらそう言った。

 キーホルダーを受け取ると携帯へ付ける。

 これを付けると大体の女は俺から一線を引く。

 そりゃ27歳のいい大人がビーズのイルカを、携帯に付けてたら引くだろ。
 
 中には彼女の手作りかと聞いてくる奴もいたが、そうだと言えばあっさり諦めてくれる。

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