君のためにできること
それがいつかはまだわからないけど・・・

私にも、その場所にいられる確立はあるのだろうか。

時々、ふとした時にそのことを感じられるときがあって、妙に淋しさを覚える。

いつまでも私だけの“貴史”ではないのだ。

幼なじみは“絶対”であっても、“特別”にはなれない。

それをわかっていても、抜け出す勇気が私にはない。

「なぁ、志麻。」

「んー?」

「やっ・・・ぱりさ、オマエに惚れて、絵まで描かれちゃったりなんかすると、嬉しい、わけ?」

「うーん・・・どうだろ。相手にもよるだろうねぇ。」

「まぁ、葛城氏は、美形だったわな。」

「美形だったねぇ。」

「そうだよなー。いかにもオタッキーなヤロウ共にスケッチされても気味悪いだけだもんな。それがアイツみたいな美形くんがやるからこそ、絵になるんだもんなー・・・。」

そう言って、うんうんうなづきながら、眉をしかめ、

「あいつ・・・いつ志麻のこと、見てたんだろ。オレ、全く気付かなかった。」

「私が一番驚いたよ!見られてた・・・って意識も全然なかったし。」

「・・・なんかなー、納得いかねぇんだよ。あぁー、また腹立ってきた!」
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