君のためにできること
葛城くんの部屋に入ると、真正面にその問題の絵が掛けられていた。

「あ・・・。」

私は思わず声がもれてしまった。

絵には、一面の桜吹雪の舞う中に、髪の毛を押さえつつ、笑っている私がいた。

「どうですか?この吉野さんを見たのは、オレが入学式のときなんですよ。一目ボレ・・・でした。」

「かなり、びっくりしてるよ。昨日見たのは、ただのスケッチだったから・・・。こうやって色までついたの見ちゃうと、圧倒されちゃう・・・。」

実際、自分で言うのもなんなんだが、

とても素敵な絵だった。

それはモデルが私っていうことじゃなく、彼、葛城くんの才能がすごいのだと思う。

「まだあるんです。こっちの部屋に・・・。でもオレが一番好きなのが、この絵だから、吉野さんに真っ先に見せたかった。」

葛城くんは、次々に絵を見せてくれた。

その絵のどれもこれもに、私が描いてあった。

「・・・こんなに?」

絵の量が半端ない。

どれだけその間、

私は見られていたのだろう。

なぜその視線に、

私は気づいてあげられなかったんだろう・・・。
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