つぼみ、ほころぶ

「ってか、風呂は当然入るぞ。温泉とは、来て一度、食後か寝る前に一度、朝に一度、そして可能ならもっと入るもんなんだ」


「うわー……急にユウちゃんがおっさんくさく見えてきた」


「るせー。とにかく行ってこいよ。まだ眠くないだろ」


「うん」


「それとも、もっとおっさんくささを味わわせてやろうか?」


ニヤリ、とユウちゃんが笑った。


「――オレと一緒にでも入るか? 露天風呂」


「っ!?」


「ふはははっ。冗だ……っ!?」


「変態っ!!」


ユウちゃんの言葉の終わりなんて待たず、あたしはまたみぞおちに蹴りを入れたあと、お風呂へ逃げ込んだ。
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