つぼみ、ほころぶ

「っ! ――チイ、目、覚めたか?」


「…………、ユウちゃん、だぁ」


夢から覚めたあたしは、心地いい風を浴びながら、布団に横たわってた。


聴こえてた声は現実ユウちゃんが、風も、ユウちゃんが扇いでくれてたものだった。


「苦手なくせに、熱い湯に長風呂なんてするからだ。――ほら、スポーツドリンク飲んどけ」


ペットボトルにストローを挿して、寝たままでも飲めるようにと口元へ持ってきてくれる。


「ありがとう」


まだぼうっとしたままで、差し出されるままにユウちゃんからスポーツドリンクを飲ませてもらう。


――あ、美味しい。


身体中に染み渡った冷たい液体は、最後の砦だったもやもやした壁もあっさりと崩していってくれた。
< 75 / 112 >

この作品をシェア

pagetop