ため息をついた日
7年付き合ってきて初めて怒鳴られた。
どちらかというと大人しく、温厚で争い事を嫌う優愛。
その優愛が大声を上げて出ていった。驚きのあまり、一瞬何が起こったのか理解できなかった。

我にかえり、自分の態度を振り返る。

病気をしてから、生活面だけでなく経済的にも優愛に頼っていた。
今日は話さなければならないことがあり、その事ばかり気にしていたとはいえ、ずいぶん酷い態度だった。ホスピタリティーを学んで、それでこれからも仕事をしていくのに、一番身近な優愛の事も察してやれないなんて。

また落ち込みそうになったけど、思い直した。
(今落ち込んでいるのは、俺よりも優愛だ。)

追いかけよう!と上着を掴んだ途端、ピーッピーッと洗濯機から終了を告げる音がした。

一瞬迷い、洗濯物を取り出し洗面所に置いてある室内干し用の物干しに干していく。二人分だし、優愛がこまめに洗濯をしてくれているおかげですぐに干し終わる。

今度こそ追いかけようとしたら、自分のお腹がぐぅーっと大きな音をたてた。

「パスタって言ってたよな。ソースだけでも作っておけば優愛が戻ってきたらすぐ飯にできるよな。」

キッチンに入ると、玉ねぎとベーコンが置いたままになっていた。
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