恋のためらい~S系同期に誘惑されて~
笹山の流し目が余りに綺麗過ぎて、やばい。
笹山の色香で確実に先に死ぬ、溺死する。
「……私、年明け生きてるかな」
笹山が何を思ったのか「気ぃ付けるわ」と少し拗ねるから、彼の肩にすり寄った。
「ねぇ。みーちゃん先輩のところ、一緒に行ってくれるんでしょ?」
「……着替えに一度帰る」
私も勇気を出してまた一歩、前に進みたい。
笹山が、ここに来てくれたみたいに。
「じゃあ、私がさ、笹山の家に行っても良いの? その、泊まっても良いの、かな」
彼はギュッと私を腕に閉じ込めた。
「あんま可愛いこと言って煽ると、先輩のところ行けなくなるぞ」
シーツのように私に絡みつく腕が気持ち良くて、いいよと頷きそうになるけれど。
「今晩こそベッドで寝ような……里沙」
そこで名前を呼ぶなんて反則技です。
「……新鮮過ぎて恥ずかしい」
「ネコから昇格だな。お前も名前で呼べよ」
「もっと恥ずかしい」
「じゃあ、今度はイキそうな時に名前で呼べば?」
「ヘンタイッ」
アハハと大きい声で笑う、笹山……ううん基樹に魅せられて。
2人だけで刻む時間は、まだ始まったばかりだ。
-- End --