私のファーストキスもらって下さい。




ーーーーーーー




「はぁん。なんとまぁ。」



「えみ、すっごく可愛いんだよ。」



「おお、おお、青春だな。
恋してキラキラだな。」



「多分、高原さんもキュンしたと思うなぁ。」




「で、お前さんはなんでここに来てんだ?
彼氏とデートは?」



「先輩、今日は予定があるんだって。」



「はいはい、寂しい顔しない。」



「そ、そんなんじゃないもん。」




拓さんってほんと意地悪だ。
膨れる私に拓さんは笑いながら、麦茶を出してくれた。



今日はえみが高原さんとデート(私はそう思ってる)に出掛けちゃったから、1人拓さんの所へ来てるというわけ。




お店も今日はお休みだから、お店の中のお掃除とか模様替えをしていた拓さんの手伝いついでに話を聞いてもらっていた。




「そっかぁ、誠二と彼氏が会ったのか。」



「うん。。でね…誠二くん、
私に何て言ったと思う?」




イスの座布団を夏仕様にい草のものに変える拓さんに喋りながら、返答も待たずに続ける。




「イケメンだし、優しそうな彼氏だな。
良かったな…だって。」



「はぁー、自分に片思いしてる子になんて酷なことを…。」



「分かってるよ?誠二くんは間違ってないよ?だって、先輩がカッコよくて優しいのは本当だもん。」




私の彼氏だってことも事実だからさ…


でもさ、




「誠二くんには言われたくなかったなぁ…」




誠二くんには早紀さんがいて、妹みたいな私に彼氏ができたんだもん。



それは誠二くんは嬉しかったかもしれないけどさ。



誠二くんに祝福されるのはちょっとキツいよ。




「鈴さ、」



「なに?」




いつの間にか自分の麦茶を注いで、イスに座っていた拓さん。




「その彼氏くんのこと、好きになったのか?」




いつの間にか考えないようにして逃げていたその答え。



拓さんのちょっと困ったようなその顔を見たら、いい加減逃げちゃいけないと感じた。




「あのね、聞いて?拓さん。」



「おん。」




私は昨日、感じたことをぽつりぽつりと話始めた。
















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