シュガー*シガレット*シークレット
《これでもう、“イイコの穂積 紗和”じゃなくなったな》



先ほど先生が放った言葉が、頭の中によみがえる。

……ただのイイコだった私は、もういなくなった。

それなら──……それなら。


そのまま去ろうとした南先生の腕を、がしりと掴む。

驚いたように振り向いたその顔に、心の中で笑ってやって。

そうして私はまた“イケナイコ”になるため、ネイビーブルーのネクタイをぐいっと掴み、そのムカつく顔を思いきり引き寄せた。



──さあ、勇気を出して、少し色を取り戻した新しい世界へ。


煙の向こうに隠れていたホントの私を、ちゃんと見ていてくれる人が、いるから。










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